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新人教員の12か月+ 今月なにする? こんなときどうする?
3月 看護教員として働くことが決まったら
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- 2026/02/27 掲載


1.看護教員の仕事ってなに? 授業と実習の他に何するの?
皆さんは、看護教員の仕事は、授業や実習指導をすることだけと思っていませんか? それ以外の仕事もありますので、看護教員の仕事全般について簡単に説明しますね。
1)授業をすること(講義・演習、臨地実習)
授業とは、講義・演習、臨地実習のことを指します。授業では、学校の理念や目的をふまえて担当する科目の内容を学生にわかりやすく丁寧に教えることが求められます。初めての授業では、先輩教員の授業内容を見学し、授業案作成の助言をもらいましょう。また、自分の看護師としての経験を伝えていくと、学生は講義内容に興味をもちやすいものです。
臨地実習では、学生が講義や演習で学んだ知識と技術を看護実践に生かせるようサポートします。学生が不安なく実習ができるよう実習指導者と連携し、実習環境を整えることが大切です。まずは、実習指導者や病棟責任者とのコミュニケーションをとり、人間関係を構築していきましょう。
2)学生への生活指導
生活指導は、担任になると多くなりますが、担任でなくても臨地実習指導の場面では必要です。生活指導というのは、具体的には、生活態度や学校や実習でのマナーなどの指導を指します。学生への生活指導には、クラスや臨地実習グループ等の複数人を対象とする集団指導と学生1人ひとりを対象とする個別指導の方法があります。
3)学校生活におけるさまざまな相談
学生は、授業や臨地実習が進むと「自分は看護師に向いているのか?」など悩みを抱えている場合があります。学校生活とは直接関係ない家庭の問題も出てくる場合もあります。また、最終学年には、就職や進路の悩み、看護師国家試験への不安などさまざまな相談内容があります。学生個々の悩みに対応できるようにしていきましょう。
学校の方針や先輩教員からのアドバイス、自分の経験等をふまえて対応できるといいですね。ひとりで悩まず、他の教員と情報を共有し協力を得ることも大切です。学生はみんなで育てていくものです。
4)学校運営への参加
学校の組織の一員として、担任、学校行事の企画・運営、各種委員会活動、カリキュラムの評価・修正、教材の整備、施設等の管理など、学校運営が円滑に機能するようにかかわります。
まずは、自分に与えられた役割を1つずつ確実に行いましょう。その役割を実践することで、周辺の業務内容も少しずつ理解できるようになります。わからなければ、他の教員に尋ねてください。1年目は、とにかくなんでも聞きましょう。聞くことで、他の教員とのコミュニケーションもとれ、人間関係も構築できていきます。
2.看護師を育てる魅力と責任はなんですか?
学生に看護を教えることには、以下のような魅力と責任があります。
1)看護師を育てる魅力とは?
①自分の看護観を深めることができる
学生とかかわることで、看護の本質を深く考えることができ、自分の看護観がより明確になります。なぜなら、臨床業務のときより1人の患者にかかわる時間が多く、学生の視点で見ることで、看護師時代では気づかなかった看護の本質について考えることができるからです。偏見にとらわれず、患者のありのままを受け入れることがとても大切です。
②教えることでえ自分も成長できる
看護教員は、看護を実践する者であり、かつ教育を実践する者でもあります。共通するのは、人にかかわり人が変化することに期待をもって活動することです。教員1年目は、教育者としては、素人です。学生と同じ目線で学ぶ姿勢をもち、常に寄り添いながらかかわることで、学生から教えられる場面は多くあります。共に成長できる関係を築けていけたらいいですね。
③「知らないこと」を「知る」、学ぶ楽しさがわかる
学生に看護を教えるには、曖昧な知識のままではできません。経験から教えることも重要ですが、看護基礎教育は、原理原則を重要視します。そのため、科学的な根拠を明確にして教えます。知っていたつもりの知識でも、いざ教えるとなると曖昧で、自分の無知を思い知らされるものです。でも大丈夫。無知を知りそこから学べば確実な知識になり、生涯の宝物になることでしょう。
2)看護師を育てる責任とは?
①教育に対する責任:学生が質の高い看護実践を提供できるよう教授する
・倫理的な教育の実践
・学生の権利擁護
・看護実践能力と教育実践の能力の向上
②臨地実習に対する責任:学生の安全と適切な指導を受けるために環境整備をする
・実習指導と監修
・実習指導計画の策定
③社会的責任:社会のニーズを把握し、看護の質がよりよいものになるよう貢献する
・看護職としての規範
・質の高い看護師の育成
3.誰か教えて! 4月までに何を準備する?
さあ、4月から看護教員として働くことになりました。何か準備しなきゃと思うけど、何を準備すればいいのかわかりませんよね。4月までに最低限準備することをお教えしましょう。
1)看護教員になるための準備情報は誰に聞く?
系列の施設などからの勤務異動で看護教員になる場合は、既に先輩看護教員がいるため、何を準備すべきか情報収集しておくといいでしょう。臨床時代には話したことがない相手でも、勇気を出して話を聞いておきましょう。今後の人間関係にもつながります。
それまでの職場とまったく関連のない専門学校や大学に勤務する場合は、面接をしてくれた教員(学校長や教務主任、学部長や学科長など)に電話やメールで尋ねてみましょう。
2)4月からの自分の役割や準備するものは?
学校によっては、次年度の役割分担が年度末ギリギリにしか決まらない場合もありますが、3月中旬以降ならある程度決まっていると思います。十分とは言えませんが、心の準備が少しはできますよね。ちなみに私の場合は、4月に「小児看護学の実習に行ってください」と言われ、「経験ないのにどうしよう?」と困った経験がありました。自分の担当領域や担当科目と開始時期、学年の担任をするのか? 臨地実習の開始時期や施設などは尋ねておくほうがいいでしょう。尋ねても「まだわからない」と言われたら、「いつの時期ならわかるのか?」「4月までに何を準備しておけばよいのか?」尋ねておくと、少しは不安が和らぐでしょう。
大学の場合は、採用時に専門領域は決まっていますので、臨地実習の時期や施設、担当科目など確認しておきましょう。
3)看護教員に必要な文献などは?
希望で異動願いを出した人、看護教員になりたくて試験を受けて内定した人は、勤務初日までにあらかじめ必要な文献などを準備して読んでおくとよいですね。関連施設からの異動の方は勤務初日までの期間が短いので、何かを読んで学習することは難しいかもしれませんが、手元に準備できるといいですね。どんな文献をもっておけば安心か? “必須の一冊”というより、授業づくり・実習指導・教育学の基礎をカバーできる文献を揃えておくと、初年度の負担が大きく減ります。
①授業づくりの基礎に役立つ文献
授業設計・学習目標・アクティブラーニングなど、看護教育学の基礎を押さえる本
②看護学の基礎文献(授業準備の必需品)
担当科目のテキストや関連分野
③実習指導に必要な文献
看護実習指導のガイドブック、臨地実習の評価・看護倫理に関する本など
④研究・論文作成に必要な文献
4.ユニフォーム・靴・聴診器など、病院で使っていた道具は
捨てる? 捨てない?
看護教員になれば、衣類や道具は勤務先ですべてそろえてもらえると思います。だとしても、どんな道具が必要になるかはわからないので、まずは、捨てないで取っておきましょう。
1)ユニフォーム・靴
勤務先によって違うと思いますが、ユニフォームや靴は、基本的には貸与または支給されると思います。大抵は学校全体で同じユニフォームにそろえるので、事前にサイズなどの確認があると思いますが、すぐに入手できるかはわかりません。また、何着もらえるかも学校によって違うので、とりあえず今まで使用していたユニフォーム類は残しておきましょう。校内演習に参加する場合はユニフォームを着用しますので、新しいユニフォームが1枚しかないと汚染したときに替えがないことになります。
なお、ユニフォームなどは、臨床時のように施設が洗濯をしてくれないので、自分で洗濯する必要があります。病院などで着用したユニフォームは、感染症の影響も考えて、もち帰るときはビニール袋に入れてください。また、クリーニングに出すか、自宅で他の衣類と別にして洗濯するようにしましょう。
サンダルは不可なので、安全のためにつま先がカバーされているものや踵のあるものを使用してください。学生にもサンダルの使用は認めていない学校が多いと思います。
2)聴診器
自分の聴診器を所有している場合は、校内演習や臨地実習で活用しましょう。
最近はフィジカルイグザミネーション技術教育が強化されているので、学生にもマイ聴診器をもたせて臨地実習に臨む学校が多いでしょう。教員の場合は病棟や学校の聴診器を借りることもできますが、基本的には、マイ聴診器を使用したほうがいいです。
3)その他
ナースポーチは、そのまま使えるので、ない人は準備しておきましょう。臨地実習や校内演習での必需品になります。中に入れる物は臨床のときのままで構いません。腕時計は、患者に直接触れると危険なので、できればナースウォッチのほうがいいですね。腕時計を使用する場合は、腕にはつけないようにして、秒針付きのものを選びましょう。
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コラム 専門学校の教員と看護系大学教員の主な違いは何?
一言で言うと、専門学校の教員は、即戦力となる看護師を育てる教育者であり、看護系大学教員は、教育と研究の両方を担う学術職です。
1)教育の目的 専門学校の教員は、知識や技術を身につけ、倫理観や態度を形成し、臨床現場で即戦力となる看護師を育成することが主な目的であるのに対して、大学教員は、看護学と社会の発展に寄与できるよう、知識や技術、倫理観、社会性や研究的思考を備えた看護専門職者を育成することが目的です。したがって、卒業後、専門学校では進学を除き臨床現場に就職することが当たり前ですが、大学卒業後の進路は、臨床だけにとどまらず大学院進学や研究職なども含まれます。
2)研究活動 専門学校の教員は、研究活動も求められますが必須ではないことが多いです。しかし、大学教員は、研究活動のウエイトも大きく、専門領域をもち研究活動が必須となります。学会発表や論文の執筆、や共同研究など研究の成果は、教育内容にも反映されることがあり、教育と研究は密接につながっています。看護系の新人大学教員にとって研究活動とは、教育者としての専門性を育てていくとともに、看護実践をよりよくするための知的探究であり、キャリアの土台となっていきます。
3)働き方の違い 専門学校の教員は、自身の専門とする領域のみだけでなく、それ以外の講義や実習を担当することが多くあります。そのため実習引率の期間が長く、幅広い知識や技術を求められます。また、学生対応の時間が多く研究に費やす時間は少なくなるといえるでしょう。 大学教員は、専門領域の講義や実習の引率が主要で、そのため実習の引率期間は短く授業時間以外の時間は比較的自由に使えます。しかし、大学内の委員会業務が多くあることから、研究時間の自力確保が必須になります。
鈴木 孝(名古屋学芸大学看護学部准教授) |

