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新人教員の12か月+ 今月なにする? こんなときどうする?

5月 とりあえず教員歴 1か月。 疲れをとって、学生に接してみよう

  • #新人教員
  • #学生対応
  • #お悩み解決
  • 2026/04/30 掲載
粟田美幸
粟田美幸
著者紹介
粟田美幸
前県立愛知看護専門学校校長

 

 緊張が続いたであろう1か月が過ぎたこの時期、まず教員自身の心身の体調を整えることが大事です。そのうえで、必要な学生とのかかわり方について紹介します。

 

1.なんだか疲れる……。慣れない環境での向き合い方

 

 右も左もわからないうちに4月が終わり連休明け。身も心も疲れていませんか? ここでは、今の環境に早く慣れるための具体的な方法について教えましょう。

 

1)まずは、仕事の優先順位を決めて

 ① 担任の場合:休み明けの学生の生活状況の把握、学生の定期面談の実施。

 ② 臨地実習指導の場合:担当学生のレディネスの把握、実習指導案の作成。

 ③ 担任をしながら臨地実習指導も行う場合:臨地実習指導の日は、担当学生の実  習指導を優先し、帰校日は担任としての定期面談。

 ④ 5月以降に担当科目の授業が開始される場合:授業案の作成。

 ⑤ 上記以外の場合:必要な事務的な業務は、期日に合わせて優先度を設定。

 

2)生活にメリハリをつけて

 月、週、日単位でメリハリをつけた生活を目指しましょう。

 月単位では、計画的な有給休暇を確保する。週単位では、もし残業しなければならない場合はやる日を決め、土日のどちらかは仕事のことを忘れて過ごすこと。日単位では、休憩をこまめにとり、残業をしないこと。また、日々の睡眠時間を確保することです。

 

3)適度な運動をしましょう

 教員になると、臨床で働いていたときより体を動かすことが少ないと思います。臨地実習指導についても、働いていたときほどは動きません。また、慣れないパソコン操作を長時間行うため、目の疲れや頭痛、肩こりなど体の不調が出てきます。

意識的に日々の生活のなかに運動を取り入れていきましょう。ラジオ体操や座ったままでのストレッチや足踏み、階段を使用すること、一駅分歩くなどです。簡単な運動でいいので、時間を作って同僚と一緒に実施すると継続できますよ。

 

4)1人でがんばらないで

 自分に任された業務だからとまじめにがんばって1人で悩んでいませんか? いっぱいいっぱいで時間内にできそうにないときは、早いうちに回りにSOSを出しましょう。初めてやることばかりですし、春先の気候の影響で体もだるくなる頃です。相談できる同僚や先輩を早く見つけましょう。もし、人見知りでなかなか気を許せる人を見つけられないようなら、まずは直属の上司に相談しましょう。専門学校によっては、新人看護師の指導係のようにプリセプター制度を導入しているところもあります。1年目は何を聞いてもいいので恥ずかしがらずに相談しましょう。

 

 

2.時間がどんなにあっても足りない!

  ――ワークライフバランスの保ち方

 

 さて、これから本格的に臨地実習指導や担任業務が始まり、忙しくなります。ただ、1日は24時間と決まっているので、ワークライフバランスを保ちながら5月を乗り越えましょう!

 

1)ワークライフバランスとは?

 ワークライフバランスとは、「仕事と生活の調和」のことです。

 内閣府の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス憲章)」では、ワークライフバランスが取れた社会とは「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」1)と定義づけています。

 つまり、仕事と私生活のどちらか一方を優先するのではなく、両立しながら相互によい影響をもたらす状態をめざす考え方です。また、理想とするバランスは人によって異なり、結婚、育児、介護、学び直しなどの人生の段階や、健康状態によっても変化します。そのため、1人ひとりに合った働き方や生き方を尊重する視点が大切です。

 

2)理想のワークライフバランスの考え方

 ① 仕事と生活の両立が充実し、好循環を生み出せること。

 ② 自分の人生の各段階で多様な生き方を選択・実現できること。

 ③ 人によって理想のバランスは違い、時期によっても変化するため、個人を尊重すること。

 ④ 仕事は、生活を支える経済基盤であり、やりがいを感じるものであること。

 ⑤ 生きがいや心身の健康、仕事のパフォーマンスに影響を与えること。

 

3)ワークライフバランスを保つ方法は?

 ① 自分にとっての理想のワークライフバランスを把握する。

 私が1年目のとき、経験したことがない小児看護学実習を任されたので、子どもが好きなテレビ番組(戦隊ものやプリキュアシリーズなど)を土日に見て共通の話題ができるようにしました。初めは、「家でも仕事をしている」と思いましたが、“推し”を見つけて生活も潤い実習指導も楽しくなり、教員の仕事が楽しくなりました。まさに好循環を生み出していました。

 ② 仕事とプライベートを明確にする。職場を離れたら仕事のことを考えない時間をつくる。

 仕事が忙しく残業もあった時期は、1時間は何もせずにボーとして、好きなドラマを見るなどしてバランスを取っていました。

 ③ 自分のキャリア、人間関係、健康に関して実現可能な目標を設定する。その時期に応じて優先順位も考える。

 キャリアアップのため、単身で東京に1年間研修に行った時期もありました。仕事の幅や人間関係も広がり、今の私があるのだと思います。

 ④ 勤務時間中には、必ず一定時間の休憩を確保する。また、柔軟な働き方を活用する。

 教育機関では、テレワークやフレックスタイムを常時導入することは難しいでしょうが、学生の夏季休業の期間は活用できると思います。

 ⑤ 有給休暇を積極的に取得し、健康維持・向上やモチベーションの向上を図る。また、休暇は事前に計画する。

 記念日、旅行など自分のために有給休暇を取得するように計画しましょう。

 ⑥ 完璧なワークライフバランスをめざすのではなく、現実的なバランスを取り入れる。今できることを1つひとつ実践する。

 私は、往復4時間かけて通勤していた時期が6年間ありました。そのとき、朝は有料座席で音楽を聴いたり、本を読んだり、ボーとしたりして自分の時間を過ごし心身を癒していました。

 ⑦ ボランティア活動など、自分が関心のある活動に参加する。

 私は、「推し活」に費やしています。ライブに行ったり、聖地巡りをしたり、好きなアニメを見たりして癒されています。

 

●引用文献

1)「仕事と生活の調和」推進サイト:仕事と生活の調和とは(定義),

https://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html

 

 

3.学生の名前と顔を覚えるコツってある?

 

 名前を覚えることは、苦手な人にとってはかなり苦痛だと思います。ただ、そもそも、なんで学生の名前を覚えることが大切なのでしょうか? まずはメリットについて考えてから、具体的な覚え方を教えますね。

 

1)学生の顔と名前を覚えることの大切さ

 ① 学生に興味をもってもらえる

 名前を呼ぶことによって、相手から好意をもたれやすくなると心理学でもいわれています。

 名前を呼んでもらうことで、大勢のなかの1人ではなく、「私である」という個人が尊重される感覚になります。

 ② 学生に話を聞いてもらいやすくなる

教員と学生がお互いに興味をもち信頼関係を築くことで、教員の話を聞こうとする意識が高まります。

 ③ 教員間でのコミュニケーションが円滑になる

 学生の指導は、1人で行うのではなく教員全員で行うものです。指導内容を共有する場合、学生の顔と名前が一致していればすぐに理解が深まり、時間も短縮されます。

 

2)顔と名前の覚え方のコツ

 ① 覚えようと思うこと

  まずは、その学生に興味をもって覚えようとすることが大切です。担任は、調査書などの記録物を見て、それと抱き合わせで覚えます。

  臨地実習指導では、担当学生以外にも同じ実習施設で実習している学生も覚えましょう。実習指導の件数が増加するたびに学生数も増えるので、ついつい名前を忘れてしまう学生も出てきます。受け持ち患者や実習内容などと関連づけて覚えましょう

② 顔と名前をイメージでつなぐ

 私の苗字は「粟田(アワタ)」ですが、よく「栗田(クリタ)」と間違えて呼ばれます。「アワの字は、西に米で、米は田んぼで育つので、粟田」とイメージをつくってもらうと覚えてもらいやすいです。名前を取り出せるトリガーをイメージ(映像化)する方法です。

③ 相手の名前を声に出して言う

 相手の名前を何度も声に出して言うことです。授業中に当てるときも「〇〇さん」と呼ぶなど、会話のなかも相手の名前を何度も言うようにして話をすることで、自然と覚えていきます。インプットだけでなく、アウトプットしないと記憶は定着しません。

④ 反復と復習する

 一度覚えても時間が経つとすぐに忘れるものです。反復して思い出しましょう。授業や臨地実習の場では毎回確認するといいでしょう。覚えにくい学生の名前は時間をかけて覚えましょう。また、就寝前に復習すると睡眠中に記憶が整理され記憶が強化されます

⑤ 顔でなく人で覚える

  学生の顔だけでなく、人柄や背景全体をからめて覚えます。

 

 

4.各学年で学生の特徴ってあるのかな?

 

 各学年は、学習進度や臨地実習の経験の違いから、それぞれ特徴があります。もっとも、当然個人差はあるのであくまで参考と考えてください。

 

1)専門学校生の場合

●1年生

 4月に入学したばかりで、まだ学校生活に慣れていません。高校生のときとは違い、90分の授業に対応できるための集中力がまだついていません。また、新しい人間関係を築いていかないといけないので心身共に疲れがでます。社会人経験のある学生も急な環境変化に対応できない場合もあります。

 5月病の症状が出ていないかなど、この時期は特に心身の変化や学校生活への適応状況に注意しておいてください。

 ●2年生

 1年間、授業や臨地実習を経験しており、なんとか専門学校の生活に慣れてきたところです。しかし、授業や臨地実習についていけず、ここまま看護師を目指していけるのか悩む時期でもあります。逆に、ついていけている学生のなかには、慣れてきて要領を得ており、適当にサボることもあります。これからの1年間の過ごし方が就職や進学、国家試験の合格に影響することが理解できるように指導することが重要です。

●3年生

  最終学年で臨地実習がメインとなります。臨地実習も連続してあり、前の実習の疲れを残した状態で次の実習に向かうので疲れが蓄積されているでしょう。また、4月から6月頃にかけて病院の就職試験が始まるので、臨地実習と並行して対策を考えなければなりません。国家試験対策として模擬試験もあります。のんびりしている暇がない状態です。心身ともに余裕がなくなるので、サポートが必要です。

 3年間の単位を修得しなければ卒業できないし、国家試験の受験資格もないので、目の前の科目の単位を修得できることを目指して助言をしましょう

 

2)大学生の場合

●1年生:基礎づくりと大学生活への適応の時期

 一般教養・基礎医学・基礎看護学などを学ぶ時期です。専門学校と同じく高校から大学への環境変化で戸惑いや不安が大きい一方、友人関係・サークル・アルバイトなど、生活リズムが不安定になりがちな時期であることから、学習方法を具体的に指導し、学習習慣の形成をサポートながら生活面もみていきましょう。

●2年生:看護学生として専門科目が一気に増える時期

 専門領域(成人・老年・小児・母性・精神・地域在宅)が本格的にスタートします。

基礎看護学実習、看護技術の実践の伴う緊張や不安を抱きやすく、「自分に看護師が務まるのか」という自己効力感の揺らぎが起きやすい時期でもありメンタルケアも大切となります。

 ●3年生:領域別実習が本格化になる時期

 実習の負担が大きく、疲労・ストレスが蓄積しやすい時期です。また、学生間のチームワークが育つ時期でもあり、実習での経験を「学び」に変換するリフレクションを支援し、学生自身の学びや成長を可視化できるよう指導していくことが大切です。

●4年生: 就職活動と卒業研究、国家試験対策に取り組む時期

 就職活動を3年生後期から4年生前期に進めながら統合実習に取り組みます。大学の4年生の大きな特徴として、卒業研究を仕上げないといけません。卒業研究がスムーズに終われるように個別の支援や指導が大切になります。また、国家試験対策にも取り組み学習時間も多くなります。心身共にストレスが多くなると思いますのでメンタルケアもさらに重要となります。

 

 

.学生との面談の始まり。何をすればいいの?

 

 専門学校では、担任になると、この時期に学生全員に面談(定期面談)を実施しているところが多いと思います。

 大学では、かつては全員を対象とした定期面談は一般的ではなく、必要に応じての個別対応でした。しかし近年では、学生支援の重要性が高まり、大学においてもアドバイザー制度や担任制度のもとで、定期的に面談を実施し、学生1人ひとりの学修状況や生活面を把握・支援する取り組みが広がっています。

 臨地実習指導では、専門学校・大学ともに学習状況に応じて学生に面談を行う機会は多くありますが、ここでは、担任が行う定期面談についてお話します。

 

1)この時期に行う意義とは?

 担任は、学年の前期と後期に定期面談を行います。学年の初めの時期は、教員も学生もお互いに関係性が薄いため、相手を知ることが重要です。1年生は、学校生活に慣れたかを重視し、今後の学校生活に向けての取り組みについて助言します。2年生は、1年間の学校生活の状況から、学業を継続していけるか、今後改善することは何かを助言します。3年生は、実習が始まる4月に終了するように計画しますが、5月にずれ込むこともあります。就職先や進路の最終確認、国家試験対策や本格的な臨地実習への取り組みについて助言します。

*最近は、病院の就職試験が早いため(4月・5月頃から開始)、2年生の後期の面談で希望を把握します。

 

2)各学年であらかじめ聞く項目を決めておく

 面談の内容は、あらかじめ項目を決めておくと聞き漏らしがありません。何を聞けばよいか先輩教員に確認しておきましょう。学校によっては、定期面談で聞く項目を明示している場合もあります。

 

3)面談の場所の確保、日時・順番の提示

 面談は、個人情報を扱うため個室を用意しましょう。学生全員の定期面談は、1~2カ月間を要します。昼休みや放課の時間、既修得単位の履修者は、その講義の空き時間を利用します。1人あたり10~15分間程度みておきましょう。担任で臨地実習指導にも出ている場合や3年生は帰校日に集中して行います。

 

4)いざ面談の実施

 学生とは初めて面談をするので、お互い緊張していると思います。まずは部屋の環境を整えて、「学生の話を受け入れます」という雰囲気をつくります。殺風景では相手の本音を引き出せません。面談室などがあれば、好きな香りや飾り物など置いて場が和むように工夫するとお互いの緊張もほぐれるのではないでしょうか? 次に、座る位置は、対面ではなく直角になるようにします。対面だと知らないうちに威圧感を与えてしまいます。そして、アイスブレイクで服装のことや通学の状況、授業の内容など軽い話からして、聞きたいことを質問します。

 

 

コラム 職場風土になじめないと感じたとき

 

 入職して1か月が過ぎても、「職場風土になじめない」と感じることがあります。周囲は自然に動いているように見えるのに、自分だけが浮いているように感じたり、何となく居心地の悪さを覚えたりする……。そのような経験は、決して珍しいものではありません。

 

なぜ「なじめない」という違和感が生まれるのか

 なじめないと感じる背景には、いくつかの要因が重なっていることが多いものです。

 1つは、人間関係の距離感に対する戸惑いです。思っていたよりも上下関係が厳しい、あるいは逆にフラットすぎてかかわり方がつかめないなど、これまでの経験との違いに違和感を覚えることがあります。

 また、「自分のやり方が通用しない」という焦りもあるでしょう。環境や役割が変われば、求められる判断も変わります。「通用しない=間違っている」と結論づけるのではなく、「何が求められているのかが、まだ見えていない状態」ととらえ直す視点も大切です。

 さらに、言葉にされない「暗黙の了解」に戸惑うこともあります。「なぜそうするのか」が説明されないまま進む現場では、不安や孤立感が強まりやすいものです。

 まず、その職場の背景を知ろうと努めることが大切ですが、同時に「理解すること」と「受け入れること」を分けて考える必要があります。不適切な指導やハラスメントは、職場風土として飲み込むべきものではありません。

 

「課題の分離」で状況を整理する

 「なじめない」と感じる背景には、自分の努力だけでは解決しにくい要素も少なくありません。だからこそ、問題をすべて自分の責任として抱え込まず、整理して考える視点が必要になります。そこで助けになるのが、アドラー心理学の「課題の分離」という考え方です。 これは、直面している問題を「それは誰の課題か?」という視点で整理する手法です。

 たとえば、職場で感情を強く乗せて話す人とかかわったとき、つい自分が悪いのではないかと考えてしまいがちですが、「相手の感情の表し方」はあくまで「相手の課題」であり、自分がコントロールできるものではないことに気づきましょう。そして、相手の感情そのものを受け止めようとしすぎるのではなく、「相手の行動や言語をどう受け止めるか」という要点(自分の課題)に集中することで、心の平穏を保ちやすくなります。

 以下の2つに分けて考えてみましょう。

・他者の課題:相手がどのような口調で話すか、どんな感情を抱くか。

・自分の課題:相手の言葉から何を受け取り、どう行動するか。

 

心を軽くするための小さなステップ

 「なじめない」と感じたとき、無理に周囲に合わせようとする必要はありません。まずは、以下のような小さな行動から始めてみてください。

1つの見方にとらわれず、見方を広げる

 何事も自分ひとりで抱え込むと、考え方が一方向に偏りやすくなります。つらいと感じるときほど、「自分の見方だけがすべてではない」と意識し、周囲の考え方や感じ方にも少し目を向けてみましょう。それだけで、物事を柔らかくとらえ直すきっかけになります。

自分の気持ちを書き出して、課題を整理する

 今感じているモヤモヤを、具体的に書き出してみると少しすっきりすることがあります。そのうえで、どこまでが自分の課題(変えられること)で、どこからが相手の課題(変えられないこと)問題なのかを可視化してみましょう。課題の分離です。

安心して話せる人を見つける

 私自身、学校に勤務した当初は周囲の様子をうかがいながら過ごしていました。そんななか、同僚同士の会話に耳を傾けながら、「この人なら話を聞いてもらえそうだ」と思える人を探し、思い切って相談したことがあります。「この前、〇〇さんからこんなことを言われたのですが……」と打ち明けると、「私も言われたよ」「いつもあんな感じだよ」と返ってきました。「自分だけではなかった」と知っただけで、心がふっと軽くなったことを覚えています。

 

理解していても、気持ちが追いつかないとき

 「課題の分離」で頭では整理できても、気持ちがついてこないことがあります。人間ですから、理解したからといって、すぐに感情まで整うわけではありません。私自身も、理不尽な言い方や対応を受けたときには、なかなか気持ちの整理がつかないことがありました。黙ってやり過ごそうとすると、かえって相手の態度が強くなるように感じた経験もあります。

 そのようなときは、自分の感じたことを落ち着いて伝えることも1つの方法です。たとえば、「先生のおっしゃっていることは理解しました。ただ、そのように言われると、自分が否定されたように感じてしまい、少しつらく感じます」と自分の気持ちを言葉にすることです。このように、相手を責めるのではなく、事実と自分の気持ちを分けて伝えることで、相手に気づきを促せることがあります。また、あえてその相手に相談してみることで、関係性が変わる場合もあります。一方的に受け止め続けるのではなく、関係のなかで調整していく視点も大切です。

 

自分の軸を育てていく

 人の個性はそれぞれですから、こちらの想像以上にはっきりと意見を伝える方も多くいます。そんななかで働くには、自分の考えや気持ちを適切に表現する力も必要になります。すべてを受け入れる必要も、感情的にぶつかる必要もありません。「ここは伝えたほうがよい」と思う場面で、自分を大切にしながら言葉にしていくことが重要です。「なじめない」という感覚は、あなたの価値観と、新しい環境のルールがぶつかっているサインでもあります。それは能力や性格の問題ではなく、環境との相性の問題です。大切なのは、相手の言動に振り回されることではなく、自分がどのように学生と向き合い、教員として成長していくかという視点です。焦らず、自分の軸を少しずつ育てながら、無理のない形で、自分らしいかかわり方を見つけていきましょう。

 

●参考文献

・嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え:岸見一郎,古賀史健,ダイヤモンド社,2013.

・アドラー心理学入門――よりよい人間関係のために:岸見一郎,ベストセラーズ,1999.

 

 

大村ゆかり(愛知県看護協会教育センター)

 

 

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