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新人教員の12か月+ 今月なにする? こんなときどうする?
6月 本格的に学生と向き合う時期――今どきの看護学生とどう向き合う?
- #新人教員
- #学生対応
- #お悩み解決
- 2026/04/30 掲載


1.今どきの学生って、一体どんな学生?
学校内は、Z世代、ゆとり・さとり世代といった異なる世代が混在し、発達障害やそのグレーゾーンにある学生、精神障害、メンタルヘルス不調に悩む学生など、実にさまざまです。また、子育てが一段落して新たに学習しようと50歳台以上の学生もいます。 時代によって生活スタイルも変化し、価値観も変化するため、世代の特徴を理解し、それに合わせた対応ができるように努力をしていきましょう。
なお、高卒ストレートで入学した学生の大半がZ世代になりますので、本項ではその世代を中心に述べて、社会人経験のある学生への対応については簡単にふれたいと思います。また、世代の特徴はあくまでも参考としてとらえ、学生個々の性格や価値観を尊重し対応するようにしてください。
1)Z世代の特徴を理解しよう
Z世代とは、1990年代半ばから2010年代初めに生まれた世代を指します。2026年時点では概ね14歳から31歳までが該当します。ですから、教員にもZ世代の人はいるでしょう。
特徴としては、以下の7つが挙げられます。
①生まれたときからインターネットやスマートフォンが身近にあり、デジタルツールを自然に使いこなします。情報収集はSNSが中心で効果的な情報発信も得意です。反面、間違った情報を素直に受け止めてしまいやすいという傾向があります。
②価値観の特徴として、多様性を尊重、社会問題に関心が高い、現実主義・保守的で安定を好む、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視します。
③承認欲求が強くあり、他人の評価を気にします。
④同年代とのコミュニケーションはできるが、世代の異なる人とのコミュニケーションは苦手です。
⑤自分で考えを深めることが苦手で、指示がないと行動できない傾向があります。
⑥小さい頃から叱られることに慣れておらず、打たれ弱いです。
⑦自分らしさを表現できるものや環境を好む傾向にあります。自分の「推し」にはお金をかけます。
2)Z世代の学生との向き合い方
①叱るだけでなく、目的や理由を明確に伝える
学生なりの常識や価値観で行動するので社会性に欠けていることもあります。その行動に対して叱るだけでは、打たれ弱いのでモチベーションが下がります。まずは、学生の言い分を聴き、改善してほしい場合は、「なぜそうするほうがよいのか」と学生が納得できるように具体的に説明しましょう。
②1人ひとりの価値観を尊重する
学生の価値観をはじめから否定する言動は避けましょう。何か問題を起こしたとき、初めから頭ごなしに注意するのではなく、事実確認をし、学生の言う理由をしっかりと聴いてください。学生の価値観にまずは寄り添い、理解して1人ひとりに合った指導を心がけましょう。
③質問しやすい環境をつくる
子どもの頃からインターネットを活用してきた世代です。自分の疑問や悩みをChatGPTなどのAIで解決する傾向が強いと思われます。そのため、自分から悩みや意見を他者に言わないことが多いです。教員から気軽に相談できる環境をつくる必要があります。直接の対話が苦手な学生は、メールやLINEでのやりとりも必要になると思います。
④定期的にフィードバックする
承認欲求が強いので、他人からの評価を気にします。定期的に成長できた点を認め、自己肯定感を高めてあげましょう。特に実習記録の指導は、できていないところだけ指摘するだけでなく、よく学習しているところや新たな発想などよくできているところは、「good」と書いたり「◎」をつけたりすると学生のモチベーションが上がると思います。
⑤自分の希望する姿や目標をもってもらう
多様な価値観を尊重する柔軟性はありますが、主体性に欠ける傾向があります。臨地実習指導やゼミ指導などで、学生の価値観を尊重し、学生のありたい姿や目標が設定できるようにアドバイスしましょう。教員が勝手に目標設定するのではなく、まずは学生の意見を聴いて目標を設定できるように支援しましょう。
3)社会人経験のある学生との向き合い方
特に専門学校では、社会人入試を設けている学校があります。また、入学試験に年齢制限はないため、冒頭に述べたように50歳台以上の人が入学するケースもあります。新人教員より年上になるため、最初は対応に戸惑うかもしれません。しかし、あまり意識しすぎると指導がうまくできなくなるため、以下の点に注意してかかわってみてください。
①人として尊敬する
社会人としての経験年数が長く、いろんなスキルをもっている学生もいます。そのことに関しては、尊敬の念をもって接するように心がけましょう。
②ストレート入学の学生と比較しない
本人たちもストレートの学生と比べて、学習や実習についていけるか不安でいっぱいなのでその気持ちを受け止めてください。学習姿勢はまじめに取り組んでいても、結果が出ないと落ち込みは大きいです。他の学生同様、できたことを認めてあげましょう。
③社会人経験があるからと頼りにしすぎない
教員は、社会人経験のある学生に何かと頼りがちです。たとえば、安易にグループリーダーにしたり、クラスのなかでの役割を強制的に依頼したりすることがあります。しかし、同じ学生なのですから、公平に接することが重要です。
④初めて看護を学ぶ点ではみな同じである
一般的な知識や大学で履修した知識はあるかもしれませんが、看護を学ぶのは初めてのはずです。ストレートの学生より要領が悪く、看護技術がうまくできないこともあります。看護に関しては素人ですので、「できるであろう」という先入観は捨ててください。
⑤学生生活をエンジョイしてもらう
入学して最初の頃は、若い人たちと馴染むのに時間がかかるかもしれません。しかし、本来は若い学生たちと何ら変わりはありません。仲間と食事や遊びに行ったり、教員に結構甘えて来たりして、学生生活を楽しんでもらいましょう。ただし、所帯をもっている学生は、両立に疲れているときもあるので、愚痴を聴いてあげたりする時間も必要かもしれません。
⑥体力と集中力がやや低い傾向を理解する
年齢とともに体力と集中力はどうしても低下しています。特に体育やスポーツ大会などでは、やる気はあっても体がついてこないのでケガをすることも多いです。また、3年時の国家試験対策の学習に疲れが出やすく、集中力が長続きしない傾向にあります。模擬試験の成績が伸びず、焦りを感じ精神的に不安定になることもあります。これらの特徴を理解したうえで、最後まで支えていく必要があります。国家試験当日もストレートの学生より緊張している場合があるので、声かけをしてみてください。
2.自分と合わないと感じた学生とどう向き合ったらいい?
「この学生は苦手だな」と感じたらどうしますか? 教員と学生でも合わない場合があります。教員だから何とかしなくてはとひとりで悩んでいませんか? お互いにストレスを抱えないようなかかわり方を紹介します。
1)無理に合わせず、自分のペースを守る
無理に合わせようとするとお互いにストレスを感じやすくなります。合わないと感じる学生の言動に過敏に反応せず、自分の仕事に集中して心の状態を整えましょう。私も授業の準備などで忙しいときに何かあると、「またあの学生は問題を起こしてくれたなぁ」とイラッとして感情的になりがちです。そんなときには、「目の前の授業を無事に終えてから考えよう」といったん落ち着いてみましょう。自分の心に余裕がないとネガティブな方向に思考が偏るので、マイペースを保つことをお勧めします。
2)適度な距離感を保つ
心理的な距離を保つことも大事です。仕事として最低限のかかわりをすればいいです。合わない学生もあなた以外の教員なら合うことがあります。担任だからといって「私が我慢して指導しなければ」と思わなくても、上司に相談し個別に相談する教員を見つけてもらいましょう。
ただ臨地実習指導では、よほどのことがない限り交代できないので、担当学生になるとお互いが辛くなります。必要最低限の指導にとどめ、臨地実習指導者にメインの指導をお願いするなど、協力を得ましょう。「自分とはうまくかかわれないと感じた」と思っていた学生も、臨地実習指導者からの助言は素直に受け入れて、臨地実習をお互いにストレスなく終えることができたという経験もあります。
どうしても無理な場合は、早めに担当を変えてもらうことも、お互いのために大事です。
3)相手をよく観察する
学生の言動に注目することで新たな気づきがあると思います。その学生の背景を理解しようと努力することも必要です。具体的には、私もそうでしたが、「欠席や遅刻が多い。学習してこない」など人は相手の悪いところばかりを見てしまいがちです。まずは良い点を見つけることから始め、その内容を書き出すことで学生の人となりや背景まで理解が深まったことがありました。
4)コミュニケーションを十分にとる
初めの印象で「好きになれない、苦手な学生だ」と感じる場合は、たいていは自分の価値観とまったく違うと感じるからでしょう。時代の変化によって世代間のギャップは生まれるものです。ただ、3)に書いたようによく観察してお互いにコミュニケーションを取る努力をすることで、わかり合えることもあります。
学生は、教員にどう接してよいのかわからず、反抗的な態度をとったり、弱みを見せないように強がりを言ってみたりしていることがあります。話してみるとその学生の人となりや背景が見えてきて理解が深まり信頼関係が築けるとも思います。
3.欠席・遅刻・生活指導の最初の壁――言いたいことを伝えるには?
学生も今の環境に慣れてきている時期です。無断欠席や寝坊などでの遅刻や授業中の居眠りなど、見過ごせない事態が出てきます。学生にとって嫌なことを伝えることになりますが、教員もいい気分ではないですよね。しかし、学生の成長を促すためであり、適切なタイミングで伝えることが大切です。ここでは、学年全体の指導ではなく個別指導について話します。
1)まずは、面談することを伝えよう
指導する学生に、面談をすることをさりげなく伝えましょう。他の学生の前で伝えると、「何をしたの?」などと噂になり本人もよい気分ではないはずです。個人的に日時と場所を伝えるようにします。
2)客観的な事実を伝えよう
まず、個別面談をする理由を学生にも認識してもらうために、はっきりとそれを伝えてください。本人も意識しているようならグタグタいう必要はありません。また、ここ最近の欠席日数・欠課時間や講師から聞いた授業態度など客観的な事実を伝えましょう。教員の主観的な意見は必要ありません。
3)学生の言い分を丁寧に聞こう
事実を伝えたら、学生の言い分を丁寧に聴きましょう。必ず、学生なりの言い分があります。アルバイト時間が多く生活が乱れている、家庭の問題、友だち関係、単なる甘えなど理由はそれぞれあると思います。まずは、学生の話に寄り添いましょう。
4)どこまで改善できるか学生に目標を立てさせる
学生の言い分を聞いて、原因が明確になればそれに向けて具体的な対策を考えます。教員が原因を分析し「こうしなさい」「こうしたらどう?」などといっただけでは、学生は態度や行動を変えません。自分で考え、実現可能な目標を立てさせます。ひとりで考えることが難しい場合は、助言をして学生が答えを出せるようにしていきます。学生自身が納得しないと行動に移すことはできません。
①具体的な対策をまずはすべて考えさせる
②そのなかからベスト3まで絞り込む(数がなければベスト1でもよい)
*実現可能、すぐにできる内容、継続できるかなどの視点で選択する
③いつから始めることができるか
④いつ評価をするか
など、看護過程と同じように、実施可能な目標を立てたら、必ずそれが実践できたか評価するようにしましょう。ただ、いろいろ時間をとって目標を立てても、実践できないこともあります。ちょっとがっかりしてしまいますが、評価することで目標の見直しができて、スモールステップで学生の成長を促すことができます。
4.学生への対応っていろいろ
優しくする? 厳しくする? 何が正解?
学生と世代が離れているほど対応も難しいですよね。自分たちの時代のことをどうしても思い出して対応しがちです。また、学生の特徴も違うので1人ひとり対応は違ってくるのも当然です。
1)個別に対応する必要性
学年やグループ全体に指導すれば、すべての学生に伝わるとは限りません。学生は1人ひとり性格も価値観も違うので受け止め方もまちまちです。問題が起きたときには、個別に対応する必要性が出てきます。
2)優しくする理由
優しくするとは何でしょうか? 何でもほめて学生の言いなりになることではなく、学生の思いに寄り添うことです。「できているところ」はほめて、「できていないところ」は、次に解決する課題をピンポイントで指摘することが必要です。
3)厳しくする理由
今月の項目1で述べたように、Z世代は承認欲求が高く、打たれ弱いので厳しくするとすぐに落ち込みます。しかし、人として確実に悪いことをした場合は、しっかりと何が問題なのかを伝えることが大切です。学生の人格を否定するのではなく、起きた問題行動に対して、学生が理解できるようにその理由を具体的かつ丁寧に説明して納得してもらえるように、根気強く支援しましょう。
4)正解はない
学生の対応に正解はないと思います。学生1人ひとり性格も価値観も違うため、問題は同じでも対応策は違ってきます。Aさんには優しくするのが効果的でも、Bさんには厳しくしたほうがよいこともあり、個々の学生によって対応が違います。しかも、必ずしも毎回うまくいくとは限りません。失敗も重ねながら、よりよい方法を模索していく日々です。
ただ、教員と学生は同じ人間です。上から目線ではなく、常に学生の思いに寄り添う姿勢で対応してみてください。必ずよい方向に向かうと思います。
5.学生に教員として認められていないと感じたら
――教員としての威厳って必要?
新人の頃は、看護教育について知らないことばかりで学生に馬鹿にされないか不安です。具体的には、「授業中に私語や居眠りなどで真面目に聞いてくれない」「実習で指導した内容を素直に受け入れない」「生活態度について指導しても『うるさい。関係ないでしょ』と暴言を放つ」など、教員として認めてもらえていないと感じた経験はありませんか?
そんなとき、「ここで教員としての威厳を示さねば」と思うかもしれません。『威厳』を広辞苑第7版で調べてみると、「堂々としておごそかなこと。いかめしいこと」とあります。ただ厳しく接するということではなくて、安心して学べる場をつくるための信頼感であると考えてみてはどうでしょうか。
まず、「教員として認められる」ように以下の対応をしてみてはどうでしょうか? これらの対応が自然とできるようになれば、教員として認められる存在になると思います。学生は、人間として尊敬でき信頼に値する教員を求めているのですから。
1)友だちではない
学生に嫌われたくないために、友だちのように振る舞う場面を見かけます。また、教員の評価を気にして機嫌をとろうとする学生もいます。互いの立場を明確にし,適度な距離間を保ちましょう。看護教員は、看護を教える人であり、いくら親しい関係になろうと友だちではありません。
2)指導内容に一貫性を保つ
教員の指導内容に一貫性がないと信頼は生まれません。学生は、言葉と行動が一致していない、言うことがコロコロ変わる教員には敏感であり、それでは信頼は得られません。自分自身の信念をもち実践してみてください。
3)高い専門性と教える魅力がある
今まで臨床で経験してきた看護の知識や技術を、授業や臨地実習でわかりやすく熱心に伝えようとする姿を見せれば尊敬され信頼関係を築けるでしょう。私の経験でも看護技術の演習でデモンストレーションを華麗にこなしたとき、学生は目がキラキラして、「先生はやっぱり看護師だ」と尊敬のまなざしで見られました。
4)人格否定はしない
学生が問題を起こしたとき、その学生が全面的に悪いと決めつけ、頭ごなしに叱ることは避けましょう。人格まで否定されたように感じられると、問題解決が難しくなります。学生にも言い分があるでしょうから、感情的にならずまず話を十分に聴いてください。そして「どの行動が悪かったのか」が理解できるように話しましょう。
5)確実に悪いことしたときに叱る勇気
学生に好かれようとして強く指導できないと、学生にその指導の意図が伝わらないことがあります。患者に危険なことをした場合や何度注意しても改善しないときなど、確実に「悪い」ときにはしっかり指導することも大事です。
6)完璧な姿を見せなくてもいい
教員自身の人間性をオープンにし、謙虚な姿勢を見せることです。教員も人間ですので、知らないことやできないことがあります。そのときに知ったかぶりをして見栄を張る必要はありません。素直になり、学生と共に学ぶ姿勢を見せることで、教員としても成長できるでしょう。
6.初めて学生から相談を受けた。さあ、どうしよう?
初めて学生から相談を受けたときは、「この私でいいの?」と不安になりますよね。でも、勇気を出して相談してくれた学生に誠実に対応しましょう。
1)時間と場所の確保
学生から相談を受けた場合、簡単に相談内容を聞き、すぐに終わる内容なのか、じっくり時間をかけたほうがいいのかをまず判断してください。また、その場でいいのか、個室を用意するべきかを考える必要があります。自分にゆとりがないと学生の相談をじっくり聴けないので、日時と場所を確保して伝えましょう。ただ、臨地実習時に実習の内容について相談を受けたら、現場ですぐに確認したほうがよい場合もあります。時間外になるので、割ける時間を考えて対応しましょう。
2)学生の話をよく聴いて
学生は、勇気を出して教員に相談したと思います。その勇気を受け止めてあげてください。何を相談されても学生の話を十分に聴いてください。学生によっては、言いたいことがうまく伝えられない場合もあるので、教員が話の内容をくみ取り、うまく伝わるような声掛けをして話の内容を明確にすることも必要です。
3)相談内容によっては1人で対応しないこと
相談内容によっては、自分1人ではどうにもならない場合があります。他の教員とのトラブルなどは相手がいることなので、学生の一方的な話では状況がわかりません。上司に相談できるよう、正確に学生の話を書き留め伝えましょう。また、メンタルヘルスに関する相談であれば、学生相談室を勧めることも必要です。
4)学生のプライバシーを十分に確保しよう
学生は、あなたを信頼して相談をしています。他の教員には内緒にしてほしい内容もありますし、情報を共有したほうがよい場合もあります。共有する必要性があると判断したら、その旨を学生に説明し、どの教員(たとえば校長、学部長などのトップマネジャー)になら言ってもいいのか了解を得ておきましょう。
7.他の教員に「学生の指導ができていない」と言われたら……
前項までは、今どきの学生への対応についてでした。しかし、新人教員への学生対応の評価は、学生のみではなく教員からもあります。看護教員として適切な対応ができているか先輩教員全員から見られています。
自分としては、わからないながらも学生の指導を適切にしてきたつもりですが、他の教員に「できていない」と言われたら落ち込んでしまいますよね。そんなとき、どうしたらよいのか考えてみましょう。
1)「指導ができてない」という指摘の内容を具体的に聴こう
「指導ができていない」と言われると、ご自身としては取り組んでいるつもりで戸惑うこともあるかと思います。そのため、どの点についてそのように感じられたのか、具体的に丁寧に話を聴くことが大切です。自分の指導のどの部分に改善の余地があるのか、すべてではなく一部なのか、どこまでは評価されていて、どこからが課題なのかを整理していきましょう。場合によっては、伝え方や受け取り方の違いが影響していることも考えられますので、落ち着いて確認していく姿勢が重要です。
2)自分が指導した事実をよく思い出す
実際に指導内容をしっかりと振り返ってください。複数の学生に対応しているので教員のほうはあまり覚えていないときがあります。そのため、学生に指導した内容はメモ書きでもいいので記録しておくといいでしょう。私は、臨地実習指導時に自分の指導ノートに日々学生に指導した内容を簡単に記録していました。学生から「昨日言ったことと違う」といわれないためにもお勧めします。
3)自分の指導内容と他の教員からの助言内容を分析する
他の教員から指摘されたことを分析してみます。明らかに自分の指導のほうが間違っていた場合は、学生に謝罪し、修正した内容の指導をしてください。しかし、他の教員のほうが間違っている場合もあります。そのときは、自分の指導した意図を伝える勇気をもちましょう。ベテラン教員であっても、今どきの学生への指導方法を間違っている場合もあります。
しかし、新人教員は先輩に面と向かって意見を言えるものではないので、まずは、気の合う同僚や親しい先輩教員に相談してみましょう。何か有効な手段を提案してくれるかもしれません。また、それでも改善されない場合は直属の上司(または学校長)へ相談することも必要です。
直接相談に行けない場合は、個人メールやLINEで相談内容を伝えてみたり、「相談したいことがありますので、お時間をつくってください」と面談希望をしてみたりすることから始めてみましょう。
4)学生指導は教員全員でかかわるもの
私が学年担任だったとき、臨地実習で学生の態度が悪いと「担任がちゃんと学生に指導しているの?」と担任の指導が悪いといってくる教員がいました。オリエンテーションもして指導はしていたのですが、一部の学生のタガが外れて態度が悪かったようです。そのときは、「すみません」としか言えなかった自分がいました。その後、「私がすべて悪いのか? その教員しか現場を見ていないので私も具体的な指導ができないのでは? 指導はタイムリーにするほうが効果的では? 現場にいた教員がなぜ指導しないの?」と考えるようになりました。そこで次からは、「先生もその場でご指導をお願いします」と言うようにしました。学生は教員全員で育てていくものです。他人事にせずに1人ひとりが責任をもって指導をしていきましょう。
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コラム 人を変えることは難しいけど、自分は変えることはできる?
「過去と他人は変えられない。しかし、自分と未来は変えることができる」は、カナダの精神科医、エリック・バーン先生が言った言葉です。 後悔しても起きてしまった過去を変えることはできません。また、他人を変えようと思っても無駄だということです。だから自分を変えること、そして未来を変えるために努力しようというものです。この言葉の意味を考えると、「うん、うん」「たしかに」「なるほどね」と共感するでしょう。しかし、私は、この言葉をそのまま信じているわけではありません。人をすべて変えることは無理があるかもしれませんが、人が変われる「きっかけ」を示すことはできると思うからです。その「きっかけ」がつかめれば、結果的に人を変えることもできるのではないかと考えています。
看護教育に携わる者としては、学生が3、4年の学びを通して看護師としての基盤を確実に身につけ、資格取得へとつながるよう支援していく必要があります。ですから、「他人は変えられない」という前提に立つと教育の意義が崩れてしまいます。また、教育の成果はすぐには表れないことのほうが多いので、卒業後に花開く学生もいます。長い年月をかけて人は変われるのだとも思います。 では、学生の何を変えることはでき、何が変えられないのかを考えてみましょう。 家庭環境や生まれもった性格(人格)を変えることはとても難しいでしょう。でも、学生の「看護師になりたい」「看護の知識や技術を深めたい」「患者さんのために何かしたい」という思いを卒業時まで継続させたり、高めたりする行動を変えるための「きっかけ」づくりはできるかもしれません。
3年生の担任となった4月早々の授業のことです。授業中に私語があり、注意しても改めないので、「この授業を受けたくないなら教室から出てください。他の学生に迷惑です」といったら、あっさり出て行った学生がいました。これまでの経験では、大抵の学生は態度を改めていたので、本当に出ていくとは思いもしませんでした。「学生の学習の機会を奪ったのでは?」「指導方法を間違えたか?」「授業が下手だった?」とひどく落ち込みましたが、他の教員からはその学生の指導は難しいと聞かされました。 その後、苦手意識があり私も逃げていましたが、他の教員からの苦情もあり、このままではいけないと思い、その学生をよく観察してみました。すると、遅刻が多く授業中も寝ていることや教員に反抗的な態度がある反面、実習では患者さんに優しく生き生きした姿が見られました。4月から少しやせたかな、とも感じていたので、面談しようと思っていた矢先、実習中にひとり控室で泣いているのを見かけました。思いきって声をかけると、「何でもないです」と応えましたが、今の実習のことを尋ねたり、「毎日眠れているか、食事は食べているか」など母親みたいなことを聞いてみました。 すると、「生活費などのために遅くまでアルバイトをして睡眠時間が足りないこと、今後は実習に集中したいのでアルバイトをやめて近くに下宿したいが父親に言い出せないでいること、母親が早くに亡くなりどうしても看護師になりたいこと」など話してくれました。私は、話を聴き、がんばっていることを認め、「勇気を出して父親にあなたの思いを話してみては? もしだめなら、私から話そうか?」と助言し、あなたならやれるよと励ましました。すると、生活態度を改めて授業や実習に熱心に取り組むようになりました。その後は、臨地実習や国家試験の学習内容について私に質問に来るようにもなりました。少しは教員として信頼してくれたのかなと思いました。
信頼される条件に以下の4つがあるといわれています。 ①よく話を聴いてくれる ②よく理解してくれる ③よく観てくれている ④よく信用してくれる このように、ちょっとしたかかわり方と相手を信じる力で相手が変わることができます。だからといって、「私が変えたのよ」と勘違いしてはいけません。変わるきっかけを示したこと、学生との信頼関係が築けたことが学生の意識を変えることになり、学生が勇気をもって行動したからです。つまり、学生を変えたのではなく、学生自身が変わるための助言をしただけなので、学生からすれば「自分を変えて未来を変えた」ということになります。
根本的に他人を変えることは難しいと思いますが、他人の意識の変化を起こし、行動に移せるようになる「きっかけづくり」はできると思います。
粟田美幸
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