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新人教員の12か月+ 今月なにする? こんなときどうする?
8月 一段落、長期の休みをとってしっかりリフレッシュ ――夏の過ごし方
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- 2026/06/30 掲載


1.4か月がんばった自分をほめて休養をとりましょう!
4か月、本当にお疲れさまでした。
長い4か月だったでしょうか。それとも、あっという間だったでしょうか。少しずつ職場の雰囲気にも慣れてきた頃かもしれません。
「まだやらなければいけないことがたくさんある」と感じて、気が重くなっている方もいると思います。確かに、教員の夏はカレンダー通りに完全に思考を止めて休めるわけではありません。だからこそ、この夏季休暇の期間を「上手に活用して、戦略的に心身を整える」という意識がとても大切になります。
でも、まずはここまでがんばってきた自分をしっかり労って、身体も心もリフレッシュしてください。私は、自分で自分を労うことは、とても大切だと思っています。もちろん、家族や職場の同僚に労ってもらえるとうれしいものです。でも、いつも自分の思うように理解してもらえたり、認めてもらえたりするとは限りません。だからこそ、「自分はよくがんばっている」と、自分で自分を認めてあげることも必要なのだと思います。
一時金(ボーナス)も入る時期ですし、自分へのご褒美を用意するのもよいかもしれません。大切なのは、「これをすると自分がリフレッシュできる」と思えることを、実際にやってみることです。
私たちの仕事は、「感情労働」ともいわれます。知識や技術だけではなく、相手に気を配りながら、自分の感情も使って仕事をしています。その分、自覚している以上に心も身体も疲れていることがあります。
この夏、すべてのタスクを完璧にこなそうとすれば、秋が来る前に燃え尽きてしまいます。大切なのは、「やるべき仕事」を抱えながらも、「ここからここまでは絶対に自分のリフレッシュに使う」と決めて、夏季休暇の時間をコントロールすることです。
教員としての役割をこの先も長く続けていくためにも、まずは自分自身という「基盤」を整えることが最優先です。「仕事を一瞬だけ横に置いて、これをすると自分が一番リフレッシュできる」という時間を意図的につくり、上手に夏を乗り切っていきましょうね。
2.夏休みは自己研鑽のチャンス!
――看護の枠を超えて世界を広げる、お勧めの学会、メディア活用法
学生が夏休みに入ると、日々の授業準備や臨地実習の対応から一瞬解放され、少しだけ時間的なゆとりが生まれます。この貴重な期間を上手に活用して、学会や研修に参加し、自己研鑽をしてみてはいかがでしょうか。日々の業務に追われていると、じっくりと腰を据えて学ぶ時間を確保することはなかなか難しいものです。しかし、一歩外の世界へ飛び出してみることで、自分の視野が広がったり、学生をどのように理解し支援していけばよいのかについて、新たな気づきを得たりすることがあります。
1)「看護」の枠を超えた学会・研究会で視野を広げる
「学会」と聞くと、多くの看護教員は日本看護科学学会や日本看護学教育学会などを思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらも大変有益ですが、あえて「看護」の枠を少し飛び出し、一般の教育系や、医療教育をシステムとして捉える学会に目を向けてみることを強くお勧めします。異なる領域の専門家が集まる場には、看護の世界だけでは出会えなかった新鮮なアプローチや、明日からの講義に直結する教え方のヒントがあふれているからです。開催時期は夏から秋に集中する傾向がありますが、来年度(次年度)の参加や発表も見据えて、今から年間スケジュールを把握し、準備を進めておくのがお勧めです。
【お勧めの学会・研究会】
・日本協同教育学会(JASCE): アクティブラーニングやグループワーク、主体的・対話的で深い学び(協同学習)を実践・研究する学会です。学校種を超えた多様な教育者が集まります。
・日本医療教授システム学会(JSME): 医療従事者の教育に「教授システム学(インストラクショナルデザイン:ID)」やシミュレーション教育の理論を応用・実践することを目的とした学会です。医療現場や学内演習における「効果的・効率的・魅力的」な教育設計の具体例が豊富に集まります。
・日本教育工学会(JSET): 授業デザインや教育効果の評価方法、ICTを活用した新しい教育実践など、教育のシステムそのものを科学的に学べる国内最大の教育系学会です。
実は私自身も、日本協同教育学会に入会し、年間を通じて数多くのワークショップや研究会に熱心に通い続けています。そこで出会うのは、小・中・高校の教員や大学の教授、企業研修の担当者など、看護教員とは全く異なる立場の人々です。しかし、「いかに学びの質を高めるか」という同じ志や興味をもつ仲間たちとのつながりは、単なる勉強の枠を超え、日々すり減りがちな自分を「リフレッシュ」させてくれる大切な居場所となっています。まったく違う角度から教育を見つめる人たちと語り合うことで、凝り固まった思考がほぐれ、新しい視点で物事を捉えられるようになります。
2)自宅で手軽にインプットできる書籍・雑誌・Webサイト
遠出をしたり、いきなり学会に参加したりするのが難しい場合は、自宅にいながらにして新しい発想やアイデアを仕込めるメディアを活用してみましょう。
【お勧めの雑誌・書籍】
・隔月刊誌『看護教育』(医学書院):他校のユニークな授業展開や、現代の学生気質に合わせた指導法の特集など、看護教員の「今、知りたい」が詰まった定番誌です。
・教育工学やインストラクショナルデザイン(ID)の入門書:「どうすれば効果的・効率的・魅力的な授業を作れるか」という、教育設計の基本がわかるビジネス書や新書を1冊読むだけでも、授業案の書き方がガラリと変わります。
【おすすめのWebサイト・オンラインプラットフォーム】
・各大学の「FD(Faculty Development)関連サイト」やオープン教材:多くの大学が、教員の指導力向上のための動画や、授業作りの手引きを無料で一般公開しています。
・看護教育関連のオンラインセミナーや研究会ポータル:移動時間をかけずに、全国の看護教員の実践レポートやミニ研修をオンデマンドで視聴できるサービスも増えています。
3)学びを地域へ還元し、仲間と繋がる「サードプレイス」の力
外の世界で得た学びを、今度は自分の専門である「看護教育」の現場へどのように還元していくか。その素晴らしい実践とつながりの場が、今全国に広がっています。
協同学習を用いた看護教育の第一人者である緒方巧先生が率いる「協同学習を用いた看護教育研究会」は、まさに全国の熱い看護教員が集い、共に授業を磨き合うプラットフォームです。現在、この活動は大阪、東京、沖縄、そして愛知など、全国各地に拠点を広げて活発に展開されています。私自身もこの研究会と出会い、緒方先生や全国の仲間たちから直接教えを受け、対話を重ねるなかで、それまで点と点だった知識が繋がり、「協同学習がもつ本当の意味や確かな方法」を深く理解できるようになりました。
そして、「愛知でもこの学びの輪を広げていこう」と緒方先生から直接お勧めいただいたことをきっかけに、私は仲間と一緒に一念発起して「協同学習を用いた看護教育研究会 in Aichi(愛知支部)」を立ち上げ、現在はその代表を務めています。
日々、学校と家との往復で息が詰まりそうなときこそ、こうした学外のコミュニティ=「サードプレイス」をもつことが大切です。同じ志を持つ全国の仲間とつながり、協同学習のもつ可能性や「学ぶ楽しさ」を共有することは、教員として走り続けるための何よりのエネルギー源(リフレッシュ)になります。「本を読む側」から「一歩踏み出す側」へ。その小さな一歩が、あなたの教員人生を想像以上に豊かで刺激的なものに変えてくれるはずです。
私自身も、かつて授業案を作成する際にさまざまな教科書や雑誌を読み、「自分の授業に協同学習を取り入れたい」と考えました。当時は緒方巧先生の著書などを貪るように読みながら、「どうすれば自分の授業に活かせるだろう」とひとりで試行錯誤していたことを覚えています。なかなか思うように実践できない日々もありましたが、その後、研究会や学会の場で緒方先生と直接出会う機会に恵まれ、そこから本物の手法を学んだことで、今では協同学習を取り入れながら講義や演習を組み立てることが自然になっています。
教育には正解がなく、無数のアプローチが存在します。だからこそ、本を読んだり、外の世界の人々とつながったりするなかで、「あ、この教え方は自分に合っているな」「この教育観は素敵だな」と思える手法や人生の師に出会えるはずです。そうした経験の積み重ねが、やがて「自分らしい授業づくり」の強固な土台となっていきます。ぜひ、この夏休みのゆとりを有効に活用して、ワクワクするような学びの種を蒔いてみてください。
【協同学習を用いた看護教育研究会のご案内】
上記した本研究会にご興味のある方、または詳細な案内をご希望の方は、下記までお気軽にお問い合わせください。折り返し、研究会の詳細や今後のスケジュール等をご案内いたします。また、愛知以外で開催されている研究会にお問い合わせの場合でも、こちらにご連絡いただきますと、ご紹介したいと思います。
・お問い合わせ窓口: aichi_kyoudou_2024@outlook.jp
(※件名に「研究会案内希望」とご記入いただくとスムーズです)
3.この4か月を振り返り、自分なりの工夫を見つけよう!
――自己満足で終わらせない「振り返り」の具体策と自習メモの仕組み化
夏休み期間は、日々の授業に追われる学期中に比べて比較的時間に余裕が生まれます。この機会に、この4か月間の自分の仕事を振り返ってみてはいかがでしょうか。振り返る際には、「うまくできていること」と「困っていること」の両方に目を向けてみることをおすすめします。ついできなかったことばかりに目が向きがちですが、自分なりに工夫できていることや成長したことに気づくことも大切です。
1)「振り返り」をなんとなくで終わらせないために
しかし、「この4か月はどうだったかな」となんとなく振り返るだけでは、「明日からどう動けばいいか」は見えてきません。振り返りの真の目的は、自己満足で終わらせることではなく、自分のこれまでの行動を分析し、次の学期からの仕事を「仕組み化」して自分を楽にすることにあります。
まず「うまくできていること」としては、日々の学生対応で「相手の強みを見つけられるようになった」「話を丁寧に聴けるようになった」など、少しでも自分の成長や工夫が実感できた部分を書き出してみましょう。どんなに小さなことでも、それが秋以降のあなたの「教育の武器(強み)」になります。
一方で、改善が必要な「困っていること」に対しては、感情的に反省するのではなく、システム(仕組み)で解決できないかを考えます。
私の場合、特に改善が必要だったのが「臨地実習指導での情報管理」でした。実習指導では複数の学生を担当することがあり、多いときには2つの病棟で10〜12名ほどの学生を同時に指導していました。そうなると、学生1人ひとりの受け持ち患者の情報、実習の進捗状況、どのような指導を行い、どのような課題を出したのか、さらには評価に必要な情報など、把握しなければならないことが膨大になります。
しかし、実習中は学生対応に追われ、丁寧に記録する時間を十分に確保できません。そのため、学生の指導内容や気づいたことをその場で簡単にメモしておかないと、後で思い出せなくなってしまうという課題を抱えていたのです。
2)実習指導が劇的に楽になる「見渡せるメモ」の工夫
そこで私が試行錯誤の末に行き着いたのが、ノートの「見開き1ページ」で全学生の状況と指導内容を見通せる仕組みづくりでした。
細かな情報をあれこれ文字で書き込むのは時間がかかり、後で見返しても要点がわかりにくくなります。大切なのは、以下の3つの要素に絞ってコンパクトに箇条書きしておくことです。
・学生1人ひとりが「苦手とすること」
・実習期間中にその学生が超えるべき「個別の課題」 (※学生本人と事前に「前回の実習をふまえて、今回は何ができるようになりたいか」を確認・共有しておくとより効果的です)
・患者さんにどのようなかかわりをもって接することができれば合格かという「指導の方向性」(例:「コミュニケーションが苦手な学生に対し、まずは患者さんとの関係性を築き、必要な情報を入手できるようにする」など具体的に記載)
私の場合は、あらかじめノートに日付と学生全員の名前を入れた枠(ボックス)をつくっておき、病棟毎や実習の週毎に見開き1ページですべての学生に対応した内容を記載できるようにしました。さらに、学生の看護記録のなかに、指導すべき視点や要点が含まれているかどうかを一目で確認できるよう、「チェックボックス式」を取り入れました。
そして、この整理したメモ(学生ごとの苦手、課題、指導の方向性)を、病棟の臨地実習指導者と早い段階で共有しておくことが非常に重要になります。
教員と指導者の間でこれらが早い段階で共有できていると、指導のばらつきを未然に防ぐことができます。共有が不足していると、学生から「この前(教員の先生には)こう言われたのに、今日(病棟の指導者には)こんな違うことを言われた……」と不信感や混乱を招いてしまいがちです。「今、この学生はここを目指してがんばっています」という共通認識の土台があれば、誰が指導に入っても一貫したメッセージを学生に届けることができ、学生も安心して実習に集中できるようになります。
この方法の最大のメリットは、指導の「偏り」にすぐ気づける点にあります。見開きをパッと見たときに、いつも空欄になっている(=メモが書かれていない)学生がいれば、「あ、この学生へのかかわりが手薄になっているな」と一目でわかり、その日のうちにすぐフォローへ回ることができます。また、「前回どんな指導をしたか」が全員分並んで見渡せるため、その指導によって学生がどう改善されたかという「成長の軌跡」も一目瞭然になり、実習評価をつける際にも絶大な威力を発揮します。
3)ひとりで悩まず、先輩教員の知恵を借りる
こうした「自分に合った仕事の進め方や工夫」のヒントは、意外と身近なところにあります。授業準備を効率よく進めている先輩教員からは、「授業資料は一週間前までに作成し、印刷まで終わらせておく」「この時間帯は授業準備に充てる」など、具体的な時間の使い方を教えていただいたこともあります。
ひとりで悩み続けるのではなく、落ち着いて仕事をされている先輩教員に「実習のメモはどうされていますか?」「授業準備のコツはありますか?」と具体的に尋ねてみてください。長年の経験のなかで培われた、自分では思いつかなかったような工夫や知恵を教えてもらえるはずです。
この4か月を具体的に振り返りながら、このように「次の実践に活かせる工夫」へと落とし込んでいきましょう。その積み重ねが、これからの教員生活を少しずつ確実に楽にしてくれると思います。
4.クラス担任なら今がチャンス! 単位取得に向けた「記録と出席状況」のセルフ監査
――年度末にパニックにならないための、夏休み書類整理術
クラス担任をしている方に、この8月のまとまった時間を使って絶対にやっておいてほしいのが、学生の「出席状況」や「各種記録」の徹底的な見直し(セルフ監査)です。
7月までは目の前の授業、試験、実習対応に追われ、事務書類をじっくり見直す時間はまず確保できなかったはずです。しかし、学生が完全に休校期間に入ったこの時期に一度、数字と記録をきれいに整理しておくことで、後期の学生支援や、年度末に待ち受ける修業・卒業認定(単位認定)に向けた準備が劇的に楽になります。
1)「どの書類が何に紐づくか」の全体像を把握する
新人教員の場合は、「何を確認すればよいのか」「どの書類が進級判定に関係するのか」がまだ十分につながっていないことも多いものです。私自身も最初の頃は、成績一覧、面談記録、履修状況の資料など、どの書類をどのように確認し、最終的に出席簿や日誌とどう照らし合わせればよいのかわからず、大いに戸惑いました。
だからこそ、時間に余裕のあるこの夏休みに一度、自校で使用している書類や会議に必要な書類を事前にチェックして確認しておく必要があります。わからないことがあれば、この時期に先輩教員や教務担当者に尋ねておきましょう。先輩たちも、夏の間であれば丁寧に教えてくれるはずです。
2)命取りになる「欠席時間数」と「遅刻・早退」の精査
特にシビアに確認しておきたいのは、欠席時間数や遅刻・早退の状況です。専門学校の単位認定は時間数管理が非常に厳格であり、わずかな計算ミスが学生の進級・卒業(ひいては国家試験受験資格)に直結します。
・欠席時間数が、単位認定に抵触しそうな学生はいないか
・体調不良による欠席と、公欠・忌引などの取り扱いが正しく区別されているか
・遅刻や早退が「○回で欠席1時間換算」となる場合、その計算は現状で合っているか
出席率がボーダーラインに近い学生の場合、教員側の集計ミスや確認漏れは文字通り命取りになります。後期が始まってから「実は計算が間違っていて、すでに単位が出せません」という事態になれば、学生の人生を左右する大問題に発展しかねません。今のうちに教員間でダブルチェックをしておくことが、最大の危機管理になります。
3)「後で書こう」のツケを払う、指導・面談記録の補足
また、この機会に学生記録や面談記録、指導記録の「白紙部分」を埋めておくことも大切です。日々の業務のなかでは、「後で記録しよう」と思ったまま十分に記載できていなかったり、学生への具体的な対応内容が抜けていたりすることがあります。
時間が経過してからでは当時の状況を思い出すことが難しくなりますが、今ならまだ記憶が新しく、確認や修正がしやすい時期です。記録を見直すことで、「この面談内容が記載されていない」「あのときの指導内容のニュアンスが不十分だった」など、早い段階で不足に気づくことができます。今気づくことができれば、関係する他の教員に連絡を取って確認したり、記録を客観的事実に基づいて補足したりすることが可能です。
4)未来の自分を助ける「根拠」をつくっておく
私自身も、年度末の単位認定資料を作成する際に、「この欠席は本当に公欠扱いだっただろうか」「面談内容は記録していただろうか」と確認と書類作成に追われ、どうしていいかわからず途方にくれた経験があります。「もっと夏の段階で整理しておけばよかった」と後悔したことは、一度や二度ではありません。
こうした確認作業は、年度末の単位認定会議や進級判定資料の作成時に、「なぜこの学生を留年(または進級)と判定したのか」を学校として公的に説明する際の強力な「根拠(エビデンス)」になります。記録が完璧に整理されていれば、会議の準備もスムーズになり、何より学生や保護者に対しても誠実でブレない説明が可能になります。また、「後期、どの学生に対して重点的な補講や声かけ(支援)が必要か」の戦略を立てることにも繋がります。
新人の頃は、年度末になって初めて必要な書類の山と確認事項の多さに絶句するものです。だからこそ、今という絶好のタイミングで一度立ち止まり、出席状況や各種記録を総点検してみてください。そのひと手間が、半年後の自分を間違いなく救うことになります。
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コラム 教務室内で生き抜くちょっとした工夫
「教務室」にはもう慣れましたか? 専門学校の先生は教務室という、ちょっと特殊な空間で仕事をすることになりますよね。大学で勤務している先生はもう少し小さめのお部屋かもしれません。大きさは異なっても、個室ではなく、他の先生方と机を並べて仕事をしていると思います。 個室でないとしても、余裕が出てきたら、自分の周りの環境をつくってみてはどうでしょう。たとえば、パソコンの壁紙を好きな風景に変えたり、ご家族やペットの写真、今どきは推しのアクスタなんかも飾るとちょっとほっこりできますよね。自分の好きな文房具や、少しでもいいので自分の好きなものを置くといいでしょう。そこから、先輩教員と話が弾みつながりもできてくるかもしれません。ちょっとした自己開示にもなると思います。 最初のうちは緊張して他の教員にも声がかけづらく静かに過ごしている方が多いかもしれません。先輩教員の会話にも入っていいのか迷いますよね。もちろん興味がある会話であれば一緒に話してみるのもいいと思います。なかには話し好きな先生もいますので、業務とは関係ないおしゃべりになってしまったり、ちょっと問題のある学生や他の先生についての愚痴になってしまったりすることもあるかもしれません。でも、教務室の中はいろいろな人が見たり聞いたりしています。急に学生が入ってくるかもしれませんし、話に夢中になっていて気がついたら該当の人物が立っていた、なんてこともあります。あまり巻き込まれないように、一線を引くことも大切だと思います。たとえば、図書室で調べものをするとか、お手洗い等で席を離れてもいいですね。 また、臨床現場では飲食は休憩室でとると思いますが、学校はお菓子などを自分の机の上で食べています。「勤務時間中の飲食は……」と本来はいわれるところですが、黙認されていることが多いかと思います。最初は違和感があったかもしれませんが、だんだん慣れてしまうとあたりまえの風景になってきます。でも、バリバリお菓子を食べながら仕事をするのは、あまり見た目もよくありませんので、おせんべいなど音のでるお菓子は少し控えたほうがいいと思います。どうしてもお腹がすくときのために、飴やチョコレートぐらいを用意しておきましょう。 それから、教務室は学生が始終訪れるところです。ほとんどの学校はカウンターをつくって、学生さんがそれ以上は中に入らないように指導していると思います。けれども、教員の机周りには試験の答案や、書きかけの面接カード等、個人情報がいっぱいです。開いたパソコンのつくりかけの試験問題が丸見えになっているかもしれません。常に注意を払うことが大切です。 そして、教務室は共同で使用する場所ですから、当然のことながら常に整理整頓を心がけましょう。今どきの臨床現場はほとんどが電子カルテをはじめとする電子情報になっていますので、紙の書類で見ることがほとんどなくなっていますよね。しかしながら学校ではまだまだ紙の書類だらけです。最近では教科書が電子書籍になってきているところも増えてきましたが、講義資料や実習記録等、ほとんどが紙の資料です。ぐちゃぐちゃに置いていると、他の書類に紛れ込んでしまったり、うっかり捨ててしまったり、ということになりかねません。 試験に関するものや実習記録などの重要な書類はもし紛失した場合、大変なことになります。学生に答案をなくしたからもう一度試験を受けてください、とはとても言えません。一所懸命書いた実習記録も同じです。机の上をきちんと整理し、実習記録は少し席を離れる時はこの引き出しに入れるなど、自分のなかで整理のルールを決めておくといいでしょう。もちろん個人情報に関する書類は、鍵がかかる場所で保管する必要があります。学校でのルールに則り、常に意識して管理することが大切です。 私が専門学校で勤務しているときにも、資料紛失などの事故は何度かありました。本人が意識していないことが重大事故につながります。内容によっては公表しなければならなかったり、関係者に謝罪が必要な事態にもなります。私は大事な書類は置き場所を意識するために口で復唱したり、他の教員に声をかけ覚えておいてもらうなどを心がけています。 最後に、臨地実習が始まってくると教員がほとんど病院に指導にでかけ、教務室ががらんとしてきます。そんなときは講義資料の準備などで助け合うことも大切です。自分の学年じゃないから、ではなく、授業開始のタイミングなどは周囲をよく見て、大変そうなところがあれば進んで声をかけ手伝ってください。次に自分が困ったとき、逆に助けてももらえると思います。 教務室は雑然としていますが、さまざまな情報にあふれています。仕事に集中することも大切ですが、時には周囲にアンテナを張っていろいろな出来事に関心をもってください。きっとこれからも教員として生き抜くすべをたくさん得られるはずです。
高口みさき(愛知県看護協会常務理事) |

