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偏見を和らげ、学習意欲を喚起する 精神看護学における授業の工夫

第2回 「精神障害」の理解を促す:映画『ビューティフル・マインド』鑑賞

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  • 2025/01/30 掲載
與那覇範明

北部看護学校(以下、本校)の設置主体は北部地区医師会で、沖縄本島の北部地域である名護市で周囲は緑豊かで自然が多い地域に位置しています。3 年課程の学校で、定員は 1 学年 80 名、今年度(2024年度)で創立 32 年を迎えています。

北部看護学校

映画『ビューティフル・マインド』を用いた授業

『ビューティフル・マインド』

ノーベル経済学賞を受賞した実在の数学者ジョン・ナッシュの半生と、彼を支え続けた妻の愛を描く物語。1947年、大学院の数学科に進学したナッシュは、周囲から変人扱いされながらも研究に没頭し、やがて画期的な「ゲーム理論」を発見。その功績が認められ、マサチューセッツ工科大学の研究所に採用される。愛する女性アリシアとも出会い、幸福な日々を過ごすが、国防省の諜報員パーチャーからソ連の暗号解読の極秘任務を依頼される。プレッシャーに押しつぶされるナッシュは、次第に精神を崩していく……。

 


映画『ビューティフル・マインド』(ロン・ハワード監督、米国、2001年)は、実際のストーリーを題材にしたもので、主人公が精神障害を負い、彼が幻覚妄想を体験している状況が、いかにも現実に起こっているかのような描写となっています。映画を観る者が患者の病的体験を「疑似体験」できる効果があり、精神疾患の理解と、患者の想いを共感することができると考えています。

単に映画を放映して学生に視聴してもらうだけでなく、時折教員が解説を入れながら鑑賞してもらうことで、「精神障害の理解」というねらいを達成できている印象を、学生の感想文からも確認できています。

映画「ビューティフル・マインド」を視聴して

学生 A

 私は、「ビューティフル・マインド」を視聴してみて、いくつか思ったことがあります。

 1 つは、病気の恐ろしさです。主人公のジョン・ナッシュは、ブリンストン大学入学から卒業、結婚し子供ができるまでの 4 年以上もの間、自分が統合失調症で、親友と思っていたルームメイトのチャールズや仕事仲間と思っていたパーチャーもすべて現実には存在しない架空の人物、つまり幻覚を見ていたことに気づかなかったことです。自分は見えているのにそこは誰もいないと言われても、誰だって混乱し人を信じられなくなってしまいます。自分が病気だということの自覚はとても大切で、これから生活していく上でも社会で生きていく上でも、とても大切なことだと気づかされました。

 2 つ目は、周りの理解の大切さです。当時は精神疾患に対しての認知や周りの理解が乏しく、ジョン・ナッシュの大学時代は自分の味方をしてくれる人・味方だと思える人がいなく、その思いからルームメイトである親友のチャールズが幻覚として現れたのかなと私は考えました。周りの理解はジョン・ナッシュの生きる希望、向き合う希望につながると思います。1 人では絶対に無理。ジョン・ナッシュには妻のアリシアがいたから壁を越えられたのだと思う。「これが現実」と彼に教え、根気よく待った。私は妻のアリシアのような人がこの世の中に 1 人でも多く増えることにより、障害を患った人達が生きやすい社会に変化していく、差別や偏見のない誰もが住みやす理地域づくりをすることが大切だと強く感じました。

 精神疾患には社会復帰の困難さやコミュニケーションの困難さ、ストレス耐性・環境への適応能力の低下や慢性疾患になったりなど、生活のしづらさが出てくる。私はこれから看護師を目指すうえで、そのような方々に対して、社会で生活するためのスキルの習得や他職種と連携を図り 1 人 1 人のレベルにあった最善のサポート体制に力を入れたいと思いました。人は 1 人では生きていけない。人は助け合いながら生きていけると、みんなが理解してもらえる社会になってほしいです。

さらに、「精神の病気のことを学びたい」「どういう看護をすればいいのか」などの感想からは、その後の精神看護学への学習のモチベーションを高めることにもつながっていると評価しています。

授業の概略

第 2 回の授業デザインを以下に示します。

事前ガイダンス

映画鑑賞を精神看護学の授業としての効果を高めるために、以下の要点、注意点を伝えます。

  • 実話を題材にした内容であること
  • 前半はストーリーが淡々と流れるが、その内容を把握しなければ後半の内容の理解がしづらいため、集中して視聴してほしいこと
  • 特に、主人公と密接に関わる人物とその特性に着目して視聴してほしいこと
  • 登場人物の持つリアルな雰囲気を感じてもらいたいため、英語音声(日本語字幕)版とする
  • 途中で一度休憩タイムを設ける など

注意:学生の思考過程へのバイアスを避けるため、できるだけ内容の解説をしないよう注意します

導入

受講後は感想文の提出があることも説明します。

展開

  1. 主人公が「学会での講演において保護される場面」(放映開始 72 分あたり)に一度休憩タイムを設け、休憩後の再開時には前半のあらすじを要約して説明する。
  2. 「インシュリンショック療法」の場面では、効果の不確実性やリスクの高さ、代替療法の進展により現在は使用されていないことについての補足を行う。

まとめ

視聴後のレポート作成では率直な感想を記述してもよいこととしていますが、もし自分が精神障害を患ったらどういう気持ちになるか、看護師としてどう配慮すべかという視点での内容も加えて考えることを促すと効果が高まると感じます。

名護湾(許田からの景色)

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